大学生・社会人の部 聖賞(2)


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平和を愛する世界人として

大学生・社会人の部:聖賞

 吉川 恵水華

 

 小さな小さな目をした龍明少年を神様はとても愛していました。その小さな目がのちに百年先、千年先を見通し、人々の心の中までも見通す目になることを知っていたからです。

 

 夜遅くまで森で遊び回ってお父さんに探しに来てもらった龍明少年。寝たふりをしてお父さんの背中におぶさっていた少年が感じていた、何の心配もなく心がすっと安心できる気分、その気分こそ神様が太古から求めていたものでした。お腹を空かせた人をほうっておくことができない龍明少年。のちに餓えで苦しむ世界の人々の食糧問題を解決するために海や川にでかけていくことになるのでした。悔しいことがあると夜遅くても家を飛び出し、喧嘩をして来たり、間違ったことは見過ごすことができず、友達のお祖父さんにまで忠告しに行く少年がのちに世界のトップたちに間違いをハッキリ指摘するようになることも神様は知っていました。

 

 石油がない家に高価な蜜蝋を自分勝手に施したり、村のおじさんのマクワウリ畑にお腹を空かせた近所の少年を集め食べさせる龍明少年。富む者と貧しい者の格差を埋めるのが神様の願いです。一度泣き始めると一日中泣いていた少年、一度決心すると絶対に譲歩しない、自分が間違っていても認めず降伏しない、一度やると言ったら必ずやる、我の強さ、執念、根性は、神の仕事をするのには、必要でした。目に入るものはすべてを知り尽くして初めて満足する、何でも大まかに知って終わりにできない龍明少年。神様が今まで誰にも言うことができなかった天の秘密を知るには、すべてを知らないと気がすまない、我慢できないという探究心が必要。

 

 そして神様が創った自然を何よりも愛する龍明少年。自然は神様を表す象徴的な存在です。自然の音、ハーモニーを感じる心は神様と通じることができました。自然をただながめて終わりにするのではなく、じっくり見て、触ってもみて、匂いをかいでもみて、味わってもみて、自然との境界線がなくなり、完全に一つになったとき、神様ご自身とも一つになるのです。鳥がどのようにして相手を探し、愛し合い、ヒナを育てるのか、蝉がなぜ熱心に鳴くのか、神様は自然を通して愛を教え、愛を感じるようにされたのです。龍明少年は自然界の生き物と友達になり、心を通わせ、愛を学んでいったのです。自然界の生き物も自分たちのことをすべて知り尽くして、愛してくれる人には屈服するしかありません。”自分のすべてを知ってくれる”これほどうれしいことはないからです。それは、人もそして神様も同じなのです。

 

 文先生が牢獄の中でも絶望したり寂しさや辛さを感じなかったのも、風の音、木の葉の音、雨の音に神を感じ、ノミやシラミと友達になり、啓示を受け、水鳥の親子に慰められたのです。太古に神様が創られた平和な世界を復元するには、私たち一人一人が幼い頃の龍明少年のように自然を愛し、純粋な心に戻るしかありません。