大学生の部 優秀賞


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『平和を愛する世界人として』を読んで

(大学生の部:優秀賞)

 中村衣里

 

 「愛の道が難しくて涙があふれ、膝をへし折られても、人類に向かう愛に捧げたその心は幸福でした」

 

 そう語り、細められた瞳には、どれほど多くの世界が映し出されてきたのでしょうか。数え切れない程の悲しみや苦しみ、果てなき孤独や憤りを目の当たりにしてきたにも関わらず、その目は他の誰よりも澄んでいます。

 「平和を愛する世界人として」を一読し終え、本を閉じると、そこには文鮮明先生の微笑みがありました。その表情はあまりにも優しく穏やかで、不思議と涙が止まりませんでした。

 

 最初何気なく手にして開いた自叙伝ですが、読み始めるとたちまち引き込まれ、一気に最後まで読んでしまいました。そして再び最初に戻って、一節一節をじっくり読み出すと、あっという間に書き込みと付箋でびっしりになってしまうほど、1ページ1ページの価値が重いのです。

 文章を目で追うだけでなく、声に出して丁寧に読むと、心だけでなく身体もしゃんと元気になるようでした。その内容に声がつまり、まるで心の垢がぽろぽろと溶け落ちるように、ただ涙が流れました。

 

 どんなに短い時間でも朝食前に自叙伝を読むと、一日の始めに食べるごはんの一口一口が、より一層尊く感じられました。数多くの命から栄養をもらって生かされている私の命は、決して一つの命で成り立っているものではないと確認できたのです。

 

 夜眠る前に自叙伝を読むと、閉じた目蓋の裏に、その日の出来事や出会った人々の顔が思い浮かびました。その中に込められた神様の愛やメッセージに思いを馳せると、どんなに寒さが厳しい夜でも胸の奥がじんわりと熱くなりました。また、静かな夜にじっと耳をすませると自分の心音が聞こえます。起きているときも眠っているときも、絶えず休むことのない、身体の働きを思うと、感謝せずにはいられませんでした。

 

 心がしおれそうなときや身体が重くだるいとき、本を読むことさえ億劫に感じられたとしても、自叙伝のページをめくれば心がすっと救われました。

 このように、文先生の歩んでこられた軌跡の一端に触れただけで、一日一日がとても貴重で愛おしく感じられ、周りの世界が放つ輝きに気づくことができました。

 

 文先生はこれまで、平和という夢を叶えるために絶えず邁進してこられました。その夢を叶えるために一瞬一瞬を全力で生きてこられた様子は文章の端々から見て取れます。しかし、ただ純粋に世界を愛し、平和を願ってきただけにも関わらず、あまりにも多くの迫害が文先生の歩みを脅かしてきました。非情な拷問、流言飛語、人間の所業とは思えないほどの残虐さは、むしろ、自分の存在が消えてしまうことを恐れて必死になる悪の心によるものだと感じられてなりません。しかし、そんな心さえも抱き込んで、許して愛して、世界が平和になるために全てを投入し続けるその姿に、ゴルバチョフや金日成をはじめ、心を開かない人はいませんでした。

 

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