高校生の部 佳作


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神様の愛と世界平和

(高校生の部:佳作)

 加瀬 紗弥香

 

 なぜ、私達人間は、争ってしまうのか。

 どうして、この世界から、戦争はなくならないのか。

 なぜ、私達は気づかないのだろうか。

 幸福が勝利によってもたらされるわけではないことに。

 

 1859年、この大きな問題と向き合おうと、一歩、踏み出した人物がいます。それが、アンリー・デュナンです。 死者約6000人、負傷者約4万人を生み出したイタリア統一戦争中のソルフェリーノに彼はいました。この惨劇を間近で目撃した彼は、2つの功績を残しました。これが、赤十字社とジュネーブ条約の始まりです。全てたった1人の気づきから、始まったことです。このことからも、気づき・考え・行動することの大切さが解ります。

 

 私は、今年の春、日本赤十字本社主催の全国スタディーセンターに参加しました。そこでは、全国各地から集まってきた仲間と共に、「自分の考えを持ち、他と協力しながら主体的に行動できるようになるため」、「問題を発見し、解決するための能力を身につけるため」に様々な活動や勉強に取り組みました。

 

 この研修のおかげで、地区の研修では、理屈でしか理解できなかった「気づき・考え・行動する」という赤十字の合言葉を私は実感として飲み込めるようになりました。また、参加者は、各都道府県メンバーの代表というだけあって、皆、すごい人達ばかりでした。何がすごいかというと、みんなフレンドリーで、コミュニケーション能力がものすごく高いのです。今、この瞬間にも人と人が争い、また1人、また1人と人が亡くなっていっている世界があるなんて信じられないくらいでした。

 

 しかし、これはスタディーセンターという異空間での話。現実は、違います。最終日が近づくにつれ、私達はお互いの悩みを打ち明けるようになりました。ほんの小さなことでも優劣をつけたがり、人と人とが争い続けている現実社会で、今、私に何が出来るのか。意外にも、皆、悩みは同じでした。「地元でも、お互い頑張り続けよう!」そう心に決めた私達83名は、5泊6日の研修を終え、地元に戻って行きました。

 しかし、研修を終え、地元に戻って行った私を待っていたのは、毎日、何の変化もない日常でした。何かを変えたい!と思っていても、仲間がいないと何も出来ないことにも気づきました。

 

 そこで、迷った私は、現実ではなく、私自身を変えよう!と思うようになりました。今までJRC活動で励んできたボランティア活動を自己満足ではなく、本当の意味で充実させることが出来るように、救急法やホームヘルパー二級、障害者ヘルパー二級などの資格取得に努めました。

 

 そして、私はその中で、特に愛の深さについて考えさせられました。例えば、目の前に車椅子で移動している人がいたとき、あなたなら、どうしますか。私なら、段差やガタガタした道では、苦労するだろうと、すぐに手を貸してしまうかもしれません。しかし、手が使える人にとっては、平らで平坦な道での介助は、必要ありません。その場合、私のすぐに手を貸すという行為は、その人の残存機能を低下させてしまう恐れがあります。だから、この場合での正しいケアは、見守るということになります。冷たいようにも思えますが、私は、その人を本当に愛している人ではないと出来ない行為だと思いました。

 

 私は、このように、たくさんの人が多くの人を本当の意味で愛せるようになれば、小さな争いもなくなるのではないかと思います。お互いの違いに苦しみ、傷つけあう世界よりも、お互いの違いを理解し、共に歩んでいく世界の方が楽しいに決まっています。遠く離れた世界の人々を救うことは出来ませんが、目の前で苦しんでいる人を助けることは出来ます。

 

 私は、いつしか社会福祉士になりたい!と思うようになりました。幅広く、たくさんの人と関わりあうことが出来るからです。

 以前は、自分の大好きな美術を生かして、人の役に立ちたい!と作業療法士を目指していました。しかし、今は違います。今は、今までの様々な経験により、本気で「人の幸せに貢献したい!」、「この地球に住んでいる人、全員が幸せと言える社会を作りたい!」と思うようになったのです。

 

 人と人とが争い、傷つけあうこの現実社会で、ひとつでも多くの幸せが増えるように、まずは、私が今日も笑顔で1日を過ごしていきたいと思います。